人の動きを電気エネルギーに変える新素材 PIECLEX-ピエクレックス-
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衣料が肥料に!?武井壮さんが自らリサイクル体験に挑戦
PIECLEXが植物を育てる仕組みはまさに“無限ループ”
ピエクレックスブランドアンバサダーの武井壮さんが、村田製作所のR&D拠点、野洲事業所(滋賀県野洲市)の一角にあるピエクレックス研究所を訪問するレポートの後編「リサイクル編」。今回は、PIECLEX(ピエクレックス)がリサイクルされ、肥料として植物を育てる仕組みに迫ります。武井さんが思わず「無限ループ」と表現した、本邦初公開のそのプロセス。これは必見です!
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PIECLEXのリサイクル体験に臨む武井さん。左が同社玉倉社長、右が案内役の辻研究員

植物を育てる肥料にポリ乳酸を変える
前編に引き続き、後編でも武井さんはピエクレックス研究所の裏側に迫っていきます。同行するのは、同研究所で基礎研究に携わる辻研究員です。そして、今回、クローズアップするのが、PIECLEXが植物を育てる肥料になるまでの知られざるストーリーです。

世の中には、PIECLEXの原料となっている、植物由来の生分解性プラスチック「ポリ乳酸」を使っている製品は数多く出回っています。それらの製品の多くが売り文句とするのが「土に還る」ことです。すなわち、水をかけたり、土に埋めたりして一定期間が経つと、微生物がポリ乳酸を水と二酸化炭素に分解するため、地球環境への負荷が小さいことを訴求しています。

しかし、辻研究員は、次のように話します。「水と二酸化炭素に分解したのでは、何も残りません。私たちは、それよりも、もっと有用な物質に変える方法はないかと、研究を重ねました。その結果、たどり着いた答えが、植物を育てる肥料にポリ乳酸を変えることです。つまりPIECLEXで作ったTシャツやマスクを、あるプロセスを経ることによって、肥料に変えることができる技術を開発したのです。いわば、“衣料”から“肥料”を作る、世界的にも珍しい試みであり、私たちは、この画期的なシステムで地球環境に貢献したいと考えています」。

では、衣料から肥料をどのように作るか、武井さんと一緒に見ていきましょう。
PIECLEXの布を切り刻み、液体に浸して分解する
武井さんがピエクレックス研究所に入っていくと、なぜか植物に水やりをする辻研究員の姿が。「実は、撒いているこの液体は、PIECLEXを分解して作った肥料です。今、武井さんが付けているマスクの生地と同じものを、分解、処理をして肥料にしています。これもピエクレックス研究所が行っている研究の一つなのです」。
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液体肥料がPIECLEXからできていることに驚く武井さん

「えっ?見た目は透明な水ですが、これが肥料でしかもPIECLEXでできている?」と、驚く武井さん。辻研究員は「では、実際にどのように肥料になっていくのか、今日は体験していただきましょう」と、興味津々の武井さんを奥の研究室に案内し、早速、そのプロセスを見ていくことになりました。

訪れた研究室の机の上にあったのが、PIECLEXのマスクで使われている布。これを分解するために必要な最初の作業が、2センチ角程度に細かく切り刻んでいくことです。ハサミを渡された武井さんは、小気味よく布を切っていきます。辻研究員が、「見た目は普通の布と変わりません。ですが、これが分解され、肥料になって植物を育て、リサイクルされていきます」と話すと、武井さんは、「それはすごい技術ですね。地球に優しく、人にも優しく、でも、菌には厳しい」と、即興でさすがのコメントを返してくれました!
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武井さんは、PIECLEXのマスクで使われている布をハサミでざくざくと大胆に切っていく

次の工程が、適量の布を重量計で測り、分解に使うボトルに入れる作業です。今回の実験で使う布の量は0.65g。武井さんは細かい重さまで計測できる特殊な重量計にピンセットで切った布を載せ、慎重に計測していきます。さらに、正確に測った布を今度はこぼれないように丁寧にボトルに投入。武井さんは、こうした細かな作業を手際よく進めていき、その姿はまるで本物の研究者のようでした。
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重量計の所定の位置にピンセットで布を丁寧に載せていく武井さん

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測った布をボトルに入れていく

ここで登場したのが、謎の液体です。辻研究員が布を入れたボトルに注いでいきます。辻研究員は、「中身はアルカリ性の液体。布を500mlのこの液体に浸し、熱を加えることによって分解の速度を速めます。今回は、窯のような特殊な装置を使って120℃で2時間加熱することにします」と説明し、武井さんにフタをしたボトルを渡して、装置に入れるように伝えます。武井さんもどうなるか、興味津々の様子。「これで2時間待つと何かが起きているわけですね。楽しみに待ちたいと思います!」(武井さん)。
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布の入ったボトルにアルカリ性の液体を注ぐ辻研究員

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武井さんが布と液体が入ったボトルを装置に置く

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装置のフタを締めて準備完了。内部の温度を120℃に設定し、いざ、実験開始!

分解すると乳酸になるPIECLEX
「乳酸ができるなんて僕とキャラがかぶってる!」
では、2時間加熱後、布の状態はどうなっているのでしょうか。辻研究員が見せたボトルの中にある布を見て、武井さんは驚きの声を上げます。「おお!なんかもうちょっと溶けて、原形をとどめてませんね。既に粉状になってきている部分もあるじゃないですか」。
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興味津々で瓶の中を覗き込む武井さん

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ボトル内部の布が少し溶け始めている

「今回は2時間加熱しましたが、もっと時間を延ばしたり、温度を上げたりすることによって、より一層細かく分解することもできます」と、話す辻研究員。さらに、辻研究員は、こうして布が分解された液体をろ過して残布をこし、透明になった液体が入ったボトルも提示。「これが最終的に処理をして完成したPIECLEX由来の肥料です」と告げると、武井さんのボルテージは最高潮に達します。

  • 武井さん「透明な液体じゃないですか。この布を刻んで、装置に入れて熱で溶かして、それがもう肥料になっている。不思議なことが起きるもんですね!」
  • 辻研究員「PIECLEXの生地はポリ乳酸でできていますが、それが分解されて、実は乳酸になっています」
  • 武井さん「え!?乳酸なんですか。乳酸は運動すると体内で産生される物質。よく運動する僕にとってはとても馴染みのあるものですよ。なんだ、乳酸をたくさん作るとなると、僕とキャラがかぶってるな(笑)」
  • 辻研究員「そうですね(笑)。この乳酸がたくさんつながってできているのがポリ乳酸です(※ポリ=polyとは「たくさんの」の意味)。
  • 武井さん「となると、分解というのは、そのポリ乳酸を元の乳酸の形に戻しているということなんですね」
  • 辻研究員「その通りです。あと、この液体にはもう一つ重要な物質が添加されています。それが、カルシウムです」
  • 武井さん「カルシウム!?」
  • 辻研究員「といっても、人間の食材に含まれるカルシウムではなく、水酸化カルシウムです。運動場でライン引きに使っていた白い粉(消石灰)がこの物質です。あれが液体の中に入っており、乳酸と結びつくことによって肥料になります。その結びつく反応がこのボトルの中で起こっています」
  • 武井さん「そうか、で、これを植物に撒くと、栄養分として吸収するというわけですね。それにPIECLEXが役に立っていると。まさにテクノロジーの世界だね。(世の中の役に立ってくれて)ありがとう、PIECLEX!」
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PIECLEXが肥料になる原理を知って、武井さんは大いに感心

「地球にとってプラスの存在になれる」ことを実感
さて、こうして武井さん自らがPIECLEXから作ってきた肥料ですが、最後にご自身が大好きなトマトの種を鉢に植え、それにかけてあげることになりました。「このトマトが育ってチーズと一緒にカプレーゼにして食べたい」と、期待に胸を膨らませる武井さん。トマトの小さな種を大きな手で一つひとつ土に植え、その上からPIECLEXで作った肥料を、愛情を込めて注いでいきます。

そして、肥料を撒き終わってから、武井さんはしみじみと語ります。「今日は実際にトマトの種を植え、PIECLEXの肥料をかけ、今後育ったトマトを僕が食べ、それが僕の活力になってくれる。
その後も僕がPIECLEXのTシャツを着て運動すると、たくさん抗菌してくれて、役目を終えるとまた肥料になって植物を育てる。これってまさしく、リサイクルの“無限ループ”ですね」

また、こうして衣料から肥料ができるリサイクルを体験することで、新たな意欲も生まれてきたようです。「PIECLEXのマスクは、単に自分のことを守るだけでなく、リサイクルを通じて地球の役に立てるということがよく分かりました。今日、布を刻んで肥料を作って、それをトマトの種に注いだだけでも、何だか良いことをしている気になれて、『地球に対して自分がプラスの存在になれている』ことが実感できています。このトマトが育って、食べることができたら、より実感できる気がします。トマトができたら、送ってくださいね。楽しみにしています!」

武井さんが最後に話した「自分が地球にとってプラスの存在になれる感覚」は、従来の衣料品では実感しづらかったのが現状です。そうした中、PIECLEXは「衣料を肥料に変える」という大胆なリサイクルによって、その感覚をよりリアルに感じられるようになっています。PIECLEXでは、Tシャツなどの自社製品を回収し、肥料化して提供するシステムをできるだけ早く完成させ、2023年度に小規模で運用を開始する計画です。多くのユーザーが、武井さんと同じように「地球に役立っている」気持ちになれるように、今後も様々な取り組みを加速させていきます!
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武井さんが辻研究員に、トマトの育成から始まる“無限ループ”について説明

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「今日は色々体験できて、楽しかった!朝6時に集合して野洲まできたかいがあったわ~」と心底満足そうな武井さん

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PIECLEXから作った肥料を与えて育てている植物。一番左が武井さんが種を植えたトマト

ちょっとオフショット
武井さん、めぼしいアイテムを発見!
ピエクレックス研究所に初めて訪問した武井さん。休憩中も所内を回遊し、様々なアイテムを物珍しそうに手にとっては自分の目で確かめていきます。
そうした中、武井さんが「これはいい!」と見つけたのが、PIECLEXの試作品として作られ、ハンガーラックに掛けられていたジャケットとパンツのセットアップです。
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試作品のセットアップを手にする武井さん

「全身をPIECLEXで作った服でコーディネートできたらいいよね。このセットアップもいいじゃない。僕はこうした服をテレビ番組で毎日のように着るので、例えば、ポケットの付近にPIECLEXのロゴを入れた黒のセットアップを作ってもらえれば、着用して出演することができます。動くたびに抗菌される服を着て、その素材はリサイクルもできる。そんなタレントなかなかいないでしょう(笑)」

次から次へと出る武井さんのアイデア。実現できたらいいですね!
ピエクレックス研究所への訪問を振り返って
武井さんスペシャルインタビュー
「PIECLEXが心底必要なものだと薦める自信が付きました」
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訪問の最後にインタビューに答える武井さん

  • Q.研究所を訪問するまでに経緯を教えてください。
  • 武井さん訪問は、僕から「ぜひ行かせてください」とお願いしたんですよ。どんなところでどういう風に素材が研究されて、何を調べているのかをこの目で見ておきたかったからです。
  • Q.実際訪問していかがでしたか。
  • 武井さんまず驚いたのが、村田製作所の野洲事業所の大きさ。地図上でも、実際に見た感じでも、いやこれは凄いなと。僕たちはこの村田製作所で生み出される様々なものに支えられているんだなと実感しました。そして、ピエクレックス研究所でも、数々の実験を目の前で体験できたことは大きかったと思います。
  • Q.資料を読むだけでなく、自分の目で見たり、実感したりすることは大切ですか。
  • 武井さんもちろんです。それをしないで薦めるのと、全てを見てから薦めるのでは、僕の中の気持ちが全く変わってきます。今回の訪問によって、このPIECLEXが世の中に心底必要なものだと思えるようになり、薦める自信が付きました。 元来、僕は広告の仕事をいただいた時は、最初にその商品を自分がたくさん使ったり、とことん調べたりします。そうやって、自分で感じて、皆さんに手に取ってもらえるように自身の言葉でPRするのが僕たちの仕事だと思っているからです。今回もPIECLEXを深く知らずして広めることはできない。ですから、研究所の訪問で全てのサイクルを見られたことで、ピエクレックスブランドアンバサダーとして、これから本当の意味で広告の仕事ができるなと思っています。
  • Q.他の研究所も含めて、研究員と話すのは初めてですか。
  • 武井さん実は、僕は小学校の頃から大学の研究所に出入りし、スポーツの事を研究したり、先生に質問したりする子供で、昔から研究職の人たちと接する機会は多かったのです。そこで得た知識が生きて、陸上の十種競技でも日本一になれました。今日も、PIECLEXの素材のことや菌のことを研究している方が、「何にフォーカスを置いているのか」「どんな数値を大切にしているのか」「それを我々の生活にどんな形で落とし込めば、より持続的な社会が実現すると考えているのか」を感じ取り、それに向けて尽力していることが手に取るように分かり、非常に有意義でした。
  • Q.研究者と話している際も楽しそうでしたね。
  • 武井さん僕は、研究者になりたかったほど、科学的なことは好きなんです。子どもの頃は、宇宙や物理学の分野で研究者になる道も夢見ていました。PIECLEXの研究員は、地球に必要な技術やデータを日々の研究で探索している方たちだったので、その作業の一端を見られたことは僕にとって楽しい経験でしたし、新たな発想を生むための大事なプロセスにもなります。ですので、こうして最先端の研究をしている方々と触れ合う機会は、僕の人生にとって非常に大切な時間なのです。
  • Q.最後の今後の抱負を教えてください。
  • 武井さんPIECLEXは色々な製品に活かすことができる素材です。洋服だけでなく、タオルなど日常で使う全ての繊維や素材をPIECLEXに置き換えることができれば、いま問題になっている衣料品の廃棄ロスに関して、かなり改善できる余地があると感じています。僕自身も玉倉社長に相談して色々な製品に落とし込んでいただき、僕らの生活でもっとPIECLEXを利用できるように事業をサポートしていきたいなと考えています。
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